第59話:進まない時の中で

テオ「うわわ!た、たかーい!」
トト「きゅう、きゅきゅう!」
エルピス「静かで、涼しい……。」
ユウ「あんまりウロチョロしちゃダメだぞ。」
テオ「はーい!」
クロード「はっはっは。時計に興味をもって貰えるのは嬉しいものだな、ビビアナ。」
ビビアナ「……。」
カプナート「本来は立ち入り禁止にも関わらず、感謝します、クロードさん。」
クロード「なに、事情が事情だ。困っている人に協力しないのも紳士的にナンセンス。これぐらい、喜んで手を貸そう。」
クロード「しかし本当なのかい?切り裂き魔が、この時計台を狙っているというのは。」
カプナート「おそらくは。この街で最も古い芸術品といえばこれになる……。そう聞きました。」
クロード「芸術品ね。そう言ってくれるのは嬉しいが、どうだろう。この時計台はもう何百年も動いていない。」
メルク「言われてみれば、針が動いていないのですよ。」
クロード「この時計台を治すことは、我が時計屋を継いだ者の代々の目標なんだが……、いやはや、なかなか難儀しているよ。」
クロード「私もメンターから修理を引き継いだが、使われている技術がかなり古い物でね。おそらく『メンテナンス』以前の技術が使われている。」
メルク「『メンテナンス』なのです?」
カプナート「機械の国の歴史にある空白期だ。そこでそれまで培われてきた技術がほとんど失われた……と、言われている。」
カプナート「お前達が出てきた迷宮もその時代のものだ。今では再現不能、原理不明な技術が大量に眠っていた。」
メルク「みゅー、それはロマンがある話なのですよ。」
クロード「それは同意だよ、レディ。しかし、実際に自分の手で触るとなると、これほど厄介な代物はない。」
クロード「現代では参考文献も互換部品もない。まさにベリーハードだ。」
ユウ「たしかに。それは難しそうですね……。」
クロード「ああ、この時計台もいつ直るかさっぱりだ。」
ビビアナ「……。」
クロード「はっはっは。心配はいらないさビビアナ。諦めたりはしないとも。」
クロード「メンターはそのメンターから、さらにそのメンターはメンターから……、代々受け継いできた、一大プロジェクトだ。」
クロード「メンターに選んでもらった人間として、諦めるつもりはないし、何より私もこの時計が動くさまを見てみたい!」
クロード「必ず、私の代で成し遂げてみせるとも。」
ビビアナ「……。」
クロード「ああ、楽しみにしておきたまえ。」
クロード「そういう事情だ。カプナート君。この時計台に価値を見出し、守りに来てくれたこと。私はとてもハッピーに感じている。」
クロード「託すよ。君達に。」
カプナート「……はい。設計議会の名にかけて、必ず。」
クロード「エクセレントだ。」
テオ「わぁあああああ!?」
ユウ「ど、どうした、テオ!」
テオ「モモ、モンスターがぁー!」
ティアリモ「ふるるる……。」
クロード「ああ、心配はいらない。彼はティアリモ、この時計台に住み着いているモンスターだ。」
クロード「ティアリモ、彼らは私の客人だ。警戒する必要はない。」
「……ふるるる。」
テオ「い、いっちゃった……。」
トト「きゅう……。」
クロード「相当居心地が良かったのか。先々代のメンターの代からいるらしい。彼にとってもここは、大切な場所というわけだな。」
カプナート「……。」
クロード「さぁ諸君、時計台の中を案内しよう!付いてきたまえ。」
テオ「わーい!行こ、トト!」
トト「きゅきゅー!」
メルク「ユウさん、私達も行くのですよ。」
ユウ「ああ。」
カプナート「……。」
ユウ「……。」
メルク「ユウさん?」
ユウ「悪い、メルク。エルピスと先に行ってくれ。」
メルク「……わかったのですよ。」
ユウ「エルピス、よろしく。」
エルピス「あいあいさぁ。」
カプナート「……。」
ユウ「えっと、カプナー……、」
カプナート「ユウ。聞きたいことがある。」
ユウ「おぉ!?お、おぉ。俺でわかることがあれば……、」
カプナート「お前はいつも戦いの場で……、」
カプナート「どういう気持ちで女性の後ろにいるんだ。」
ユウ「……。」
カプナート「初めてだったんだ……。女性が……ヘキサルトが僕を守って、怪我をした。動けない僕より先に、あいつは動いた。」
カプナート「とてもショックなことだったはずなのに……。あいつは、いつものように笑って……。」
ユウ「ああ……。」
カプナート「教えてくれ、ユウ。お前はいつも、この気持ちをどう整理しているんだ。どうしてこんな気持ちの中で平然としてられる。」
カプナート「教えてくれ……。こんな自分を、お前は誇れるのか……!」
ユウ「……誇れるかと言われたら、難しい。」
ユウ「女の子だからとかじゃなく、誰かが自分を守るために傷つくのはつらい。自分が何もできないことも、いつも苦しい。」
カプナート「……そうか。」
ユウ「でも……今の俺の立ち位置はそこだ。」
ユウ「どれだけ俺が決心しても、今の俺には純粋な力に対抗することはできない。気持ちだけじゃ、どうにもならない。」
ユウ「俺にできることは、戦ってくれる仲間を信じることだ。」
ユウ「そして……仲間の期待に応えること。みんなが必ずモンスターを抑えてくれると信じて、モンスターを癒すこと……。」
ユウ「これを心から誇れるかは、複雑な所だけど……。でも、そうだな。」
ユウ「認めることは、できたと思う。」
カプナート「……。」
ユウ「俺はカプナートのことも、仲間だと思ってるよ。」
カプナート「えっ……。」
ユウ「メルクもみんなも。もちろんヘキサルトだって。だから、背負ってるものがあんまりにも重かったらさ。」
ユウ「俺たちに託してくれてもいいからな?」
カプナート「でもそれじゃあ、僕がここにいる意味が……!」
ユウ「そ、それは心配いらないと思うぞ?癒術の能力しかない俺でも、やれることが色々あるんだ。カプナートなら、もっとたくさんできるって。」
ユウ「カプナートにしか、できないような。そんなことがさ。」


ハードエッグ「A班は北から巡回。B班は昨日サムライが出現した場所へ。CとDは他の候補地に。大通りは俺達が担当する。」
ハードエッグ「はい、復習終わり。最後にミスターからありがたい一言。」
ミスター「ぴっぴのぴー!」
ハードエッグ「以上、解散。」
「はいっ!」
タイロス「テキパキしてんなー。あんた、本当に私立探偵なのかよ。」
ハードエッグ「警吏と組むことが多いだけだ。」
ハードエッグ「それより、君達はなぜここにいる?戦闘は管轄外だと記憶しているが。」
タイロス「ばっ!た、戦う気はねぇよ!オレっち達はただ、夜の散歩と洒落こんでるだけさ。クールな大人の男だからな。」
トロボック「うーっす……。」
ミスター「ぴっぴっ、ぴー。」
ハードエッグ「そうだな。素直なようで素直でない。まさしく大人の男。」
タイロス「どういう意味だよ!」
ハードエッグ「頼もしいということだ。散歩がてら、気が向いたら力を貸してくれ。」
タイロス「いや、だからオレっち達は……!」
ハードエッグ「嬢、準備はできてるか?」
エルピス「うん、準備バッチリ。できる女って感じだよ。」
ヘスペラ「うぉるるる。」
テオ「魔宝石もしっかりチャージしてきたわ!タイロスさん、火を貸してくれてありがとう!」
タイロス「おう、いつでも頼ってくれていいんだぜ?」
ハードエッグ「うむ、結構ちゃん。」
タイロス「結構ちゃんって?」
ハードエッグ「この距離でも鈴の交信はできそうか?俺も一応、交信用の証明は持っているが……、」
エルピス「そっちも問題ないよ。さっき、軽くしりとりしたから。」
エルピス「多分、お互いの場所を認識できていれば、それなりの距離が離れていても会話できるみたい。いいものだなー。」
ハードエッグ「ふむ……。話には聞いていたが優れものだな。遠方の相手にズレなしで声が届けられる。」
ハードエッグ「かつてこういうものがあれば、また状況は変わっていたのかもしれないな。」
タイロス「かつてって、いつよ。」
ハードエッグ「まぁ、色々だ。」
ハードエッグ「ではエルピス嬢、早速交信開始だ。我々は警吏と共に、地上でジェイザール及び、眼帯のサムライを調査、警戒する。」
ハードエッグ「そちらも油断を怠らないように、と。」
エルピス「あいあいさぁ。」
エルピス【……先輩、聞こえる?】

ヘキサルト【あー、あー】
ヘキサルト【こちら先輩!こちら先輩!聞こえてるよ後輩!よろしくどーぞ!】
【良かった。元気そう】
ヘキサルト【もっちろん!ヘキサルトちゃんはいつだって元気だよーん!】
【さすが先輩。それじゃあ、私たちはこれから始めるね。ユウたちにもよろしく】
ヘキサルト【オッケー、伝えとくよ。十分、気をつけてね】
【うん、先輩たちも。この言葉があってるかわからないけど……】
【応援してる】
ヘキサルト【……うん、ありがと。勇気湧いてくるよ。マジでさ】
【じゃあ行くね】
ヘキサルト【おう、また後であおう!】
ヘキサルト「……よしっ。」
ヘキサルト「リーダー!エルピス達、出発したってー!」
カプナート「わかった。こちらも準備を進めるぞ。」
メルク「了解なのですよ!」
トト「きゅきゅー!」
ユウ「……こっちに来るかな。」
カプナート「おそらくはな。他の候補と比較しても、この時計台が一番可能性が高い。」
ユウ「そうか……。」
ヘキサルト「さぁー、どっからでもかかってこい!成長した私の姿を見せてやる!シュッ、シュッ!」
メルク「あ、あんまり無理しちゃダメなのですよ?」
ヘキサルト「へーき、へーき!ヘキサルトちゃんは案外タフなのだ!わーはっはっはっはっは!」
メルク「みゅ~……やれやれなのです。」
カプナート「……。」
カプナート「ヘキサルト。」
ヘキサルト「うん?なになに、告白ー?」
メルク「みゅ!大胆なのですよ……。」
カプナート「……。ピラオロスは時計台の入り口にいるんだったな?」
ヘキサルト「そ。あの子は巨体だし、制圧力はあるけど、ここだと物を傷つけちゃいそうだからね。」
ヘキサルト「大丈夫!あの子は超絶強いから!もしかしたら、一人でジェイザールを捕まえちゃうかもねー!」
カプナート「……そうか。いざという時は、呼べよ。」
ヘキサルト「うん、わかったよん。心配してくれてありがとね。」
カプナート「そういうわけじゃ……ない。」
ヘキサルト「……?」
カプナート「……。」
ユウ「あー……カプナート!俺たち、ちょっと向こうの方も見てくるよ!」
カプナート「わかった。油断はするなよ。」
ユウ「ああ、ありがとう。行くぞ、トト。」
トト「きゅー!」
カプナート「そこの足元に、糸を張ったから気をつけろよ。」
ユウ「ああ、わかってる。とうっ!」
「ふべっ!」
メルク「回避してなお、引っかかるのですね……。」
ヘキサルト「ユウは色々凄いのに、運動神経だけは本当にからっきしだね……。戦いは、私達だけで頑張らないと……、」
カプナート「……。」
ヘキサルト「あー……っと。ごめん、私は出しゃばらないよ。ジェイザールの様子を見るのに徹して……、」
カプナート「いや。」
ヘキサルト「へ?」
カプナート「……一つだけ、確認させてくれ。」
カプナート「どうして……笑っていられる。」
カプナート「ジェイザールはお前の親代わりだったんだろう。そんな奴と戦うのに、どうして……。」
ヘキサルト「……ごめん。気に障った?」
カプナート「理解、できないだけだ……。」
ヘキサルト「……別に、大した理由じゃないよ。」
ヘキサルト「そうしてないと、泣いちゃうから。」
カプナート「お前が?」
ヘキサルト「そ、結構泣き虫なんだよ、私!そういうギャップに殿方はグッとくるわけだなー!」
ヘキサルト「まぁ結局は強がりってこと。今も正直、油断してると泣いちゃいそうなんだけどさ。笑ってると、なんだか勇気が湧いてくるんだ。」
カプナート「……そこまでして、どうしてジェイザールと戦う方を選んだんだ。」
ヘキサルト「それ、コーヒーハウスで言ったじゃん!もーう、本当に私に興味がないんだから!」
ヘキサルト「メアリローサさんと約束したから!こんな私のことを評価してくれたあの人を、裏切るわけにはいかないかんね!」
ヘキサルト「……それにどんな理由があろうとも、ジェイザールがやってることは、この国を軋ませることだもん。」
ヘキサルト「放ってはおけないよ。知人なら、もっとだ。」
カプナート「……。」
ヘキサルト「そういうわけだからさっ。今だけは大口開けて笑うのも、許してほしいな!終わったら君好みのお淑やかレディに戻るから!」
カプナート「好みとかじゃないし、お前が一度でもお淑やかなレディだったことがあるか。」
ヘキサルト「失礼な!私はいつでもお淑やかでしたわ!おほほほほほ!」
カプナート「お淑やかに菓子折り付きで謝罪しろ。」
カプナート「……わかった。好きにすればいい。戦いも……前に出ることは止めない。」
ヘキサルト「へ……。いいの?」
カプナート「むしろ、そっちのほうが安全だ。僕も全力は尽くすが……昨日の結果が、全てだ。」
カプナート「僕じゃ、お前を守れない。」
ヘキサルト「……。」
カプナート「僕には、お前を守るだけの力はない。悪いがあまり、期待しないでくれ……。」
ヘキサルト「わかった、リーダー!私、精一杯頑張るよ!」
カプナート「ああ。」
ヘキサルト「でもごめんね、期待はしちゃう!」
カプナート「は……?」
ヘキサルト「だーって、昨日のことがあったのに、リーダーまだ、私を守るって言ってくれるじゃん!」
ヘキサルト「我らがリーダーはできる人!それは拳を交えた私が、よーくわかってるよん!だから、リーダーが頑張るっていうなら信じる!」
カプナート「……。」
ヘキサルト「いやー、しかしですねー。うふふふ、いやはや、へへへ。」
カプナート「な、なんだ気色の悪い……。」
ヘキサルト「ごめんごめん。でもさ、リーダーが私のことを聞いてくれたの、これが初めてだったから!」
ヘキサルト「それがなーんか嬉しくてさ!私ったら、リーダーの心を奪っちゃったかしらーなんて!」
カプナート「はぁ……。本当に口を開けば苛立つことしか言わないな、お前は。」
カプナート「……でも、それにも少しは慣れて……、」
「ピリリリリリ!」
カプナート「警吏の笛!」
ヘキサルト「……っ!」
【私たちが接敵した!】
ヘキサルト【相手は誰?ジェイザール?】
【ううん、相手は……!】


りょうば「うぃー……ひっく、へへへ。」
エルピス「ユウ大好きおじさん……!」
りょうば「ひっひっひ……。見つけたぜぇい。いひひひ、ひひ!」
テオ「あれ?この雰囲気、どこかで……?」
ハードエッグ「昨日とは様子が違うな……。まずは様子見で、俺達が出よう。」
テオ「気を付けて、卵のおじさん!ミスター!」
ハードエッグ「ああ……っ!」
ミスター「ぴよよー!」
りょうば「ほわぁあああ!」


ユウ「カプナート、今笛が……!」
カプナート「ああ、ハードエッグの隊が接敵した。相手は……、」
ヘキサルト「ユウ大好きおじさん。」
メルク「まさかラプカさんが、機械の国までやってきたのです!?」
ユウ「ひょえ!?」
トト「きゅー!」
カプナート「どうしてこの異常なワードの心当たりが、複数あるんだ……。眼帯男のことだ。出没したらしい。」
ユウ「あ、そ、そっちかぁ。」
メルク「考えてみれば、ラプカさんはどちらかというと『お兄さん』という風貌だったのですよ~。」
メルク、ユウ「あっはっはっは。」
トト「きゅうきゅう!」
ヘキサルト「ユウ……。意外と、魔性の男なのかな。」
カプナート「やめろ。」
ヘキサルト「リーダーも気をつけなね?」
カプナート「やめろ。」
カプナート「ともかく、連絡の取りやすい、ハードエッグ隊と接敵したのは幸いだった。エルピスとは常に状況確認をしておけ。」
ヘキサルト「オッケー!えっと、位置は……、あれ?」
カプナート「どうかしたか?」
ヘキサルト「……街の霧、濃くなってない?」
カプナート「なに?」
メルク「みゅみゅ!ほ、本当なのですよ!これはまるで、私たちが襲われた時のような……!」
カプナート「ジェイザールは日光が苦手で、それを遮るために、霧を吐くことができる……。」
ヘキサルト「……来てる。」
カプナート「ユウ、警戒を!僕……と、ヘキサルトの後ろにいるんだ!隙を見て癒せ!」
ユウ「わ、わかった!」
カプナート「どこから来そうだ。」
ヘキサルト「ジェイザールは配管に住んでいるモンスター。いつもそこを移動してた。だから定石ならそこ!」
ヘキサルト「……でも今は、私がここにいる。」
カプナート「手の内はバレているならどうする。奴の速度を生かす接近方法は……、」
ヘキサルト、カプナート「正面突破!」


ジェイザール「シュゥゥゥゥゥ……!」
「出たぞ、ジェイザールだ!」
「シュルルルルル!」
「は、速い……!追いつけない!」
「いや、問題ない!入り口には、奏鐘士が呼んだ……、」
ピラオロス「ポォオオオオオオ!」
ジェイザール「シュゥゥゥゥゥウウウ!」
ピラオロス「ポォアアアアアアア!」
ジェイザール「シュルルルルッ!」
ピラオロス「ポォッ!?」
「ピラオロス、上だー!」
ピラオロス「……!」
ジェイザール「シュゥゥゥルルルル!」


カプナート「壁を……登っている!」
ヘキサルト「窓から離れて!いや壁からも!これぐらいの壁なら切り裂いてくる!」
ヘキサルト「まったくもう!こんな特技があるなんて聞いてないっての!」
カプナート「来るぞ!」
ジェイザール「シュラァアアッシュ!」
ユウ「ジェ、ジェイザール……!」
ヘキサルト「……。」
ヘキサルト「……。」
カプナート「ヘキサルト!?」
ジェイザール「……。」
ヘキサルト「ここでやめる気はない?ジェイザール。」
ジェイザール「……。」
ジェイザール「シュルルルルルル!」
ヘキサルト「……っ!」
ヘキサルト「オッケイ!じゃあとことんだ!」
ヘキサルト「設計議会の名において、君を拘束するよ、切り裂き魔!」
ヘキサルト「もう……決めたんだ!」
ジェイザール「……シュルル。」
ジェイザール「シュゥゥゥ!」
ヘキサルト「止めてみせる!」
ジェイザール「シュッ!シュルルル!」
ヘキサルト「はやっ……!?」
カプナート「はぁ!」
「シュゥゥルルル……!」
ヘキサルト「ありがとう、リーダー!」
カプナート「遠距離攻撃のお前の武器と、懐に入ることが得意なジェイザール……。相性は最悪だ。」
ヘキサルト「うん、近づかれたら、ほぼ打つ手はないねー。」
ヘキサルト「さすが、切り裂き魔!今日まで設計議会の追跡を振り切っただけのことはある!」
ジェイザール「シュルルルルル!」
カプナート「お前は一度距離をとれ!」
「うわっ!?」
カプナート(いつもの糸じゃ切られるだけだ!何重にも重ねて……!)
ジェイザール「シュルルルルル!」
カプナート「……っ!受け止めきれない……!」
ヘキサルト「てぇい!」
「シュゥゥゥゥゥ!」
メルク「ユウさん、癒術は……!」
ユウ「ダメだ、ジェイザールが速すぎる!そのうえ、なんというか……視界から外れるのがうまいんだ!」
ユウ「捉えたと思っても、すぐにいなくなる。まるで影を相手にしてるみたいだ……!」
カプナート(ユウの言う通りだ……。奴が使っているのはおそらく、一対一に特化した戦闘スタイル……!)
カプナート(常に視界の外にはずれ、確実な一撃を入れ続ける!一対一ではまず勝ち目がない……!あいつに勝つためには、多数の目を……連携を!)
ジェイザール「シュルルルルル……!」
カプナート「くっ!はぁ!」
カプナート(隙が無い……)
カプナート(どうする、どう立て直せばいい!こんなとき、お父様なら!お爺様ならどうする!ここで、僕が取るべき行動は……!?)
「リィィィダァァァ!」
カプナート「はっ……!」
ヘキサルト「リーダー!私……私さあ!」
ジェイザール「シュゥゥゥゥ……!」
カプナート「おい、何やってる!ジェイザールが、後ろから……!よけろ!」
ヘキサルト「……。」
ヘキサルト「信じてるよ、全力で!」
ヘキサルト「君を!」

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