第53話:機械の国

ユウ「えぇっと、整理するぞ。まず機械の国では世界鐘についての情報を一般には公開してないんだな?」
ヘキサルト「そうだね。設計議会と、そこ直属の警吏達……国属警吏っていうんだけどね。彼らしか知らないみたい。」
ヘキサルト「これはお国柄って言うのかなー。この国は元々、そういう気質があってね。」
テオ「そういう気質って?」
ヘキサルト「適材適所って言うの、かな。世界鐘みたいな国に関わることは貴族達の管轄で、ここにいる人達なんかは……、」
ヘキサルト「自分には無関係だと思ってる。上がどうにかしてくれるから、自分達は自分達のできることをてっとこうって感じ。」
テオ「それ、魔法の国とちょっとだけ似てるかも。少し前までは、他所の家とは極力関係を持たない、というか、情報を出さないのが普通だったし。」
メルク「それじゃあ、例えばこの裏町に住む人たちは、世界鐘については知らないのですね?」
ヘキサルト「そんなものが出現したことすら知らないだろうねー。私だって、たまたま見つけなかったら知らなかったし。」
ヘキサルト「だから、これは私の仮説なんだけど。世界鐘は人……それも奏鐘士の資格を持った人間を、ある程度は引き寄せられるんじゃないかな。」
ヘキサルト「私が見つけた最初の世界鐘も、正直、普段の行動範囲からはまるっきり外れてたし、怪しい言い方になるけど『導かれた』って感じがした。」
ユウ「導かれた、か。エルピス、最初に鐘を見つけた時はどうだった?」
エルピス「……。」
ユウ「エルピス?」
エルピス「……ん。ごめん、ちょっと考え事してた。後にしてくれると、嬉しいかも。」
ユウ「そっか。じゃあ、今は置いておくな。」
エルピス「……ごめん。」
ユウ「いいって。それで、ヘキサルトが鳴らした鐘は……、」
ヘキサルト「3つだよん。で、私が知ってるうちでも機械の国の世界鐘は5つ。そのうちの2つは別の奏鐘士に鳴らされちゃった。」
メルク「別の奏鐘士……。言われてみれば、魔法の国で遭遇してもおかしくなかったのですよ。」
テオ「実際、お師匠様は資格があったんだもんね。そっか……これからはどんどん出会うことになるかも。」
テオ「ヘキサルトお姉さんは、話し合って譲ったの?」
ヘキサルト「殴る蹴るの大乱闘ですよ、テオさん。」
テオ「わーお過激ー……。」
ヘキサルト「とは言っても、私が一方的に遊ばれてたんだけどね。いやぁ可愛い顔して強いのなんの……。」
ヘキサルト「みんなも気をつけなね?ものすごい槍使いでさ、おまけにこっちの動きが、完全に読まれちゃうの。あれには参ったなぁ……。」
ユウ「ヘキサルトがそこまで言う相手か……。あ、あんまり想像したくないな。」
メルク「同意なのです……。できれば、その人とは鐘の争奪戦をしたくはないのです。」
エルピス「……そうだね。」
ユウ「それで、今日地下の世界鐘を鳴らしに行ったけど……、」
ヘキサルト「うん、私が来た時点で鳴らされてた。」
ヘキサルト「警吏も全員眠らされてたし……、あの人数を相手に出来るって相当だと思うなー。」
メルク「最初に鐘の争奪戦をした人と、同一人物ということはないのです?」
ヘキサルト「可能性はあるかもだけど、あんな技が使えるなら私に対しても使ってた気がするなー。彼、私の相手をするの心底面倒くさそうだったし。」
メルク「なるほどなのです……。」
ヘキサルト「けど、結果的にはオーライだったね。鐘を鳴らしてなかったから、エルピス達が無実ってわかったわけだし、出会えた。」
ヘキサルト「正直、勢いで助けちゃったわけだけどさ、君達ぐらい気持ちのいい人達なら助けて正解だったよん!」
ユウ「こっちこそ、助けてもらえて本当に助かったよ。俺たちだけじゃ絶対に捕まってたし……。」
ヘキサルト「ま、お互い様ってところだねーん。さてと、私の持ってる情報はこんなものだけど、どう、役に立った?」
メルク「ありがとうなのですよ、ヘキサルトさん!おかげでたくさんわかったのです!エルピスも、聞きたいことが聞けたのです?」
エルピス「うん、ありがとう。」
エルピス「ヘキサルトは、すごいね……。自分の力だけで、3つも世界鐘を鳴らしてる。」
ヘキサルト「いやいや、自分の力だけじゃないって。ピラオロスとかがいてくれたお陰。ね?」
ピラオロス「ぽぁぁぁ。」
ヘキサルト「あくびで返事すんなよー。」
エルピス「……そっか。」
ヘキサルト「……。」
ヘキサルト「ま、難しい話はこの辺にしときましょう!みんな、お腹減ってない?何かご馳走してあげる。」
ユウ「そんな、悪いよ。俺たちは宿を取るしさ。」
ヘキサルト「そう冷たいことおっしゃいなさんな。というか警吏の包囲網を突破したり、逃げたりで、君達全員、お尋ね者になってるだろうし。」
ユウ「な、なんだってぇー!?」
キサルト「あはは、気づいてなかった?とりあえず、今日はここに泊まっていきなよん。」
ユウ「……そうするのが良さそうだな。」
テオ「うう、お尋ね者……。ごめんなさいお師匠様ぁ……。」
ヘキサルト「心配すんなってー。私だって世界鐘鳴らしまくったけど、一度も捕まったりしてないし。」
ヘキサルト「さてと、そうと決まれば食材を買ってこないと。ちょっと出かけてくるから、留守番よろしくね。」
テオ「えっ!?で、でもお姉さんだってお尋ね者じゃ……、」
ヘキサルト「言ったでしょ。今まで捕まったことないんだから!」
ヘキサルト「でーもーなー。さすがにこの人数分の食材を買うのは骨が折れるか。」
ヘキサルト「エルピス、一緒に来てくれる?」
エルピス「へっ?私?」
ヘキサルト「この中じゃ一番身軽だしさ。奏鐘士同士、鈴での連携も取れるっしょ?」
エルピス「ヘキサルトがいいなら……。」
ヘキサルト「決まりぃ!じゃあ、行ってきまーす!」
「うぉー……。」
メルク「い、行ってらっしゃいなのですよー……。」
ピラオロス「……ぽぉ。」


エルピス「わぁ……。」
ヘキサルト「綺麗っしょ?機械の国には街灯技術もあるからね~。」
エルピス「うん、なんだか暖かい。」
ヘキサルト「あぁ、わかるなぁ。私も初めて見た時は、そんなふうに思ったっけ。」
ヘキサルト「行こ、エルピス。いいパンを売ってるお店がこの先にあるんだ。マフィンもあるよん!」
エルピス「うん。」
エルピス「……。」
ヘキサルト「……ねぇ、エルピスはさ。」
エルピス「うん?」
ヘキサルト「どうして奏鐘士になったの?」
エルピス「……鐘の人を助けるため。」
エルピス「私はそこまでに、色んな人に助けてもらったから、私も同じように、誰かを助けたかった。」
ヘキサルト「ほぉ……。」
エルピス「……?何か変なこと言った?」
ヘキサルト「ううん、全然変じゃないよ!ただ……そこまで一緒だと思わなかったから。」
ヘキサルト「私も同じ理由だよ、エルピス。」
エルピス「そうなの……?」
ヘキサルト「……エルピスには教えてあげる。私ね、生まれも親もわからないんだ。」
エルピス「え……。」
ヘキサルト「機械の国では珍しいことじゃないんだけどねー。物心ついたときには独りぼっちだった。」
ヘキサルト「でも、この国は優しかった。私のことを色んな人が、色んな形で助けてくれてさ。……おかげで、私は今もこうして生きてられる。」
ヘキサルト「だからこそ、誰かに助けを求められた時には絶対に私も助けようって決めてたんだ。」
エルピス「ヘキサルト……。」
エルピス「私もだ!」
ヘキサルト「へ?」
エルピス「私も生まれも親も知らない!」
ヘキサルト「なにぃ!?」
エルピス「目覚めた時は箱の中で、すでにこの姿!それ以前の記憶は何も無い!一緒!」
ヘキサルト「いや、エルピスちょっと特殊すぎない!?んん、でも同じか?大きなくくりでは一緒か?」
ヘキサルト「まぁ一緒か!一緒だね!」
エルピス「うん、一緒だ!あるんだ実際!」
エルピス「……でも、だったら。私はやっぱり、すごくないなぁ。」
ヘキサルト「お、おお?どうしたどうした?」
エルピス「同じなのに……。ヘキサルトは鐘を3つも鳴らしてるし、強い。世界鐘についても色々考えてた。」
エルピス「でも私はまだ2つだし、弱い。レトラペインにも、警吏の人にも手も足も出なかった。」
エルピス「鐘も、ただ鳴らすだけだった。それが何でなのかとか、考えようとも思わなかった……。」
ヘキサルト「エルピス……。」
エルピス「……もっと、頑張らなくちゃ。」
ヘキサルト「……。」
ヘキサルト「頑張るのは応援するよ、いいことだ。でも……私ばっかり見ててもダメだよん。」
エルピス「どういう意味……?」
ヘキサルト「確かに私はある程度、強い。でもそれは、努力で手に入れた力じゃない。」
ヘキサルト「私の呼びかけに答えてくれたピラオロス。それから……、」
ヘキサルト「この力。」
エルピス「それは、ヘキサルトの力でしょ?」
ヘキサルト「ううん、違う。これは私でも、出所がわからない力なの。」
エルピス「え?」
ヘキサルト「私は元々、機械に関する知識なんて、これっぽっちも持ち合わせていなかった。この翼みたいな物を作ることなんて絶対無理。」
ヘキサルト「でもね、奏鐘士になった時から、なぜか頭の中に機械に関する知識が入ってきたの。」
ヘキサルト「他にも今日行った迷宮の全体図や、仕掛けの動かし方。そういったものを、知らないうちに『知っていた』。」
ヘキサルト「もちろん、鐘の人に貰った力でもないよ?本人に確認しても、違うって言われたし。」
エルピス「……。」
ヘキサルト「私が強いのは、貰った力を、ありがたーく使わせてもらっているだけのこと。」
ヘキサルト「エルピスは私のこと、すごいって言ってくれるけど、本当の私はもっとシンプル……弱い人間だよ。たまたま強い力を貰えただけの、ただの人間。」
ヘキサルト「だからさ、私を見て焦ることはないよ。半分、ズルして強くなったようなものなんだから。」
ヘキサルト「エルピスはエルピスのペースで、頑張ればいい。」
エルピス「私のペース……。」
ヘキサルト「それにエルピスはもう十分、全力で頑張ってるじゃーん。」
エルピス「えっ、そうかな……?」
ヘキサルト「そうだよ。だって君、自分が弱いってわかってるのに、あのイケメン警吏に向かっていったでしょ?」
ヘキサルト「仲間を守るために。勝てないってわかっていても、君は前に出た。」
ヘキサルト「それってさ、一生懸命に生きてる証拠だよ。出来ないことにも、全力で立ち向かっていってる。」
ヘキサルト「そんな君だから、私はお節介を焼こうと思ったわけ。」
エルピス「……。」
ヘキサルト「焦るな―、エルピス!君の人生はこれから長いんだぞーう。」
エルピス「あうあうあう。」
エルピス「……そう、なのかな。」
ヘキサルト「きっとそうだよ。そうじゃなかったとしても、そうなるように信じてる。……そうなってほしい、が正しいのかな?」
ヘキサルト「だって君、いい奴だし。」
エルピス「……ありがとう。でも、いい奴パワーならヘキサルトに……、」
エルピス「ううん、先輩には負けるよ。」
ヘキサルト「先輩!?」
エルピス「奏鐘士としても、人としても、ヘキサルトは私よりはるかに経験豊富……。そして何より、この私を導いてくれる感!」
エルピス「先輩と呼ぶしかないのでは!?」
ヘキサルト「いやあっただろう他にも!」
ヘキサルト「……呼びたいなら止めはしないけどさ。あんまりオススメしないよ、私を先輩ってのは。」
エルピス「おっす、先輩!」
ヘキサルト「君はどこから知識を得てんのさ……。」
ヘキサルト「まぁ、君がそう思いたいなら、それに応えられる努力はしてみるよん。」
ヘキサルト「私も……嬉しいは嬉しいしさ。」
エルピス「うっす、お荷物お持ちします。」
ヘキサルト「おっ、言ったなー?じゃあ任せるぞ、後輩よ!」


ヘキサルト「はい、これで完了っと。平気かぁー、後輩?」
エルピス「う……ん。ヨユー。」
エルピス「うおっとっと。」
ヘキサルト「あはは、ごめんごめん。ちょっと調子に乗って買いすぎちゃったね。こっちは持つよ。」
エルピス「ありがとう、先輩。」
ヘキサルト「こちらこそ。後輩がいてくれて助かったよ。はいこれ、手伝ってくれたお礼。」
エルピス「何これ?」
ヘキサルト「マフィンだよーん。」
エルピス「マフィン!」
エルピス「このかぐわしい香りは、確かにマフィン!しかもこれは……紅茶が入ってる?」
ヘキサルト「そ。機械の国の名物だからね。気に入ってくれるといいけど。」
エルピス「すでに好き。」
ヘキサルト「あはは、そりゃよかった。じゃあ早く帰って食べようか。ユウ達も待ってるだろうし。」
エルピス「だね。」
ヘキサルト【……っと、けど少し遠回りしよう】
エルピス「……?いいけど、どうして鈴での会話にしたの?」
ヘキサルト【声でバレるとまずいからね。君も話すときは、鈴に意識を集中させて。そしたら私とだけ会話ができるから】
エルピス「……【わか、った】」
ヘキサルト【最初でそれだけできたら上出来。いい?知らんぷりして私についてきて】
ヘキサルト【前に警吏がいる】
エルピス「……!」
警吏の男性「いたか。」
警吏の女性「ダメ、見当たらない。」
エルピス【ここにいるってバレた?】
ヘキサルト【わかんないなー……。でも、見つかったら面倒なのは確実だね。街じゃ人が多くて、私の武器も使えないし】
ヘキサルト【よし。環境を逆手にとって人ごみに紛れよう。歯車を隠すなら廃棄場、人を隠すなら群衆にってね】
エルピス【賢い……】
エルピス【でも先輩、ひとつ問題が】
ヘキサルト【なに?】
エルピス【隠れられるほどの、人ごみがない】
ヘキサルト「へ?」
「人払いならすましてある。この辺りはすでに僕が敷いた包囲網の中だ。」
ヘキサルト、エルピス「どきぃ!」
警吏の男性「はっはー!引っかかったな!」
警吏の女性「あんた達のことなんてとっくの昔に気づいて包囲済みなのよー!」
「口が悪いぞ。」
警吏の男性、警吏の女性「すみません!」
ヘキサルト「なな、なんでわかったのさ!今まで逃げきれてたのに!」
「戯けが。顔を見た相手の居場所を突き止められないほど、警吏は甘くない。」
エルピス「ガッツリ見られてたもんね。」
ヘキサルト「うきゃあー!そう言えばそうだ!」
「もう逃げ場はない。大人しく拘束を受け入れろ。受け入れなければ……、」
カプナート「手荒に行く。」
エルピス「高い所から登場するの好きだね。」
ヘキサルト「わかるよ、かっこいいもん。」
エルピス「うん、絵になる。」
カプナート「っ……!」
ヘキサルト、エルピス「あぶねっ!」
ヘキサルト「こりゃまずいね!後輩、ここは私が引き受けるから、ユウ達のところに!」
エルピス「わかった!」
カプナート「逃がさないと言っているだろう!」
ヘキサルト「そこぉ!」
カプナート「面倒な……!」
ヘキサルト「人がいないなら使えるってもんよ!後輩、道を開くから……!」
カプナート「させるか!」
ヘキサルト「うおわっ!?い、糸が絡まる!」
エルピス「先輩!」
ヘキサルト「あっはっは、平気平気!これぐらいのピンチどうってことないよん!」
カプナート「……っ。」
カプナート「……そうじゃない。」
ヘキサルト「はい?」
カプナート「彼女はそうは、笑わない……!」
カプナート「はぁああああ……!」
ヘキサルト「うおおっ!?引っ張られる!」
カプナート「あの笑顔を!穢すな!」
警吏の女性「ね、ねぇ……。カプナートさん、様子がおかしくない?」
警吏の男性「た、たしかに。鬼気迫るっていうか、なんというか……。少なくとも、今はオートマトンなんて呼べないぞ。」
ヘキサルト「っととと!ごめん、質問!あの笑顔って、いったい何のことかな!?」
カプナート「黙れ、お前が知る必要はない!お前と彼女は、まったく無関係……、」
カプナート「彼女がお前のような、薄っぺらい笑顔をするわけがないからな……!」
ヘキサルト「薄っぺらい、笑顔……。」
カプナート「彼女の笑顔は奥が深く、慈悲深い。見た者の心に一生残る、そんな笑顔だ。」
カプナート「お前のような耳障りな大声で、わざとらしく笑ったりは……しない!」
ヘキサルト「……っ!」
エルピス「先輩、壁が!」
カプナート(しまった、力加減が……!?)
ヘキサルト「機構変形(トランスフォーム)!弾丸(バレット)から放射(エミッション)へ!……ファイア!」
ヘキサルト「火炎放射も完備なんだなこれが!継続噴射!姿勢制御!」
ヘキサルト「……っと、あっぶねー。」
カプナート「……火炎放射の勢いで体勢を制御。壁への衝突を避けたか。」
ヘキサルト「よく見えたね。さっすがー!」
カプナート「……っ。」
ヘキサルト「……。」
ヘキサルト「君の言う『彼女』さんが、何者かはわからないんだけど……。私の顔にそっくりってことでいいのかな?」
カプナート「……。」
ヘキサルト「……そっか。」
ヘキサルト「ごめんね、期待に応えられなくて。」
カプナート「……は?」
ヘキサルト「できるだけ応えたいけど、今は、優先しなきゃいけないことがあるんだ。」
ヘキサルト「だからせめて……踏み台にでもしちゃってよ。」
カプナート「……!お前、今の……、」
ヘキサルト「ははぁ!君の言う通り、『彼女』と私はきっと別人だ!私に君の言うような笑顔はできないからね!わぁーっはっはっはっはっはっはー!残念でしたぁ!」
カプナート「……っ!ああ、そうだ!やはりお前に、彼女のような笑顔ができるわけがない!」
カプナート「上がれ、イノー……!」
カプナート「くっ……そっ!」
ヘキサルト(また糸……?)
ヘキサルト「……やり方、間違えちゃったか。」
エルピス「先輩!」
「そこまでですわ!」
「キキィ……!」
エルピス「うわっ!と、鳥?」
「キィ、キィ……!」
カプナート「……違う。この独特の音は、機鳥装衣(きちょうそうい)だ。」
ヘキサルト「……飛んでいる、機械。」
ヘキサルト「……。」
カプナート「……なぜ、貴女がここにいるのですか。」
「それはこちらの台詞ですわ、カプナートさん。貴方には、屋敷での待機命令が出ていたはず。それなのに、どうしてここにいますの!」
警吏の男性「えっ!そ、そうだったのか!?」
カプナート「それ、は……、」
「……何はともあれ、私が来た以上、これ以上の戦闘行為は認めません!」
メアリローサ「双方、武器を収めなさい!この勝負は設計議会議員、メアリローサが預かりますわ!」
警吏の女性「メメ、メアリローサ様!?」
警吏の男性「ぜ、全員整列ー!」
エルピス「ぴしっ!」
警吏の男性「君はいいんだよ!」
エルピス「あれ?」
エルピス「あ、そうだ!先輩!」
ヘキサルト「鳥……、空……。」
ヘキサルト「……飛ぶ、機械。」
エルピス「先輩。……先輩!」
ヘキサルト「へ!?あっ、な、なに?」
エルピス「設計議会の議員さん、だって。」
ヘキサルト「設計議会!?ま、待って!状況がわからないんだけど!」
メアリローサ「それはごもっともですわ。事前の約束もなしに、突然押しかけて申し訳ございません。」
ヘキサルト「は?あっ、この人が?」
エルピス「うん、メアリローサさん。」
ヘキサルト「わわっ、こちらこそすみません!なんのお構いもできませんでっ!」
メアリローサ「そうかしこまらないでいいんですわよ?」
ヘキサルト「そ、そうはいきません!設計議会の議員さんには、ものすごーく助けてもらいましたから!」
ヘキサルト「え、えぇっと、それでやっぱり、メアリローサさんも、私達を捕まえに来たんですかね?議員さんが直接来るような事態になってましたか……?」
メアリローサ「ある意味、正解ですわ。私は、貴女を……いいえ、貴女たちをですわね。」
メアリローサ「スカウトに来ましたのよ。」
ヘキサルト、エルピス「え?」
カプナート「……は?」

第二部四章

タイトルとURLをコピーしました