第2話:王都へ

ユウ「……と、いうことが2人と合流する前にあったんだ。」
メルク「村に大きな被害がなくてよかったのですよ~……。」
トト「きゅ!」
クライド「それは災難だったね……。」
リチャード「でも、何とかしちまったんだろ?大したもんだ。さすがはベテラン癒術士だな!」
ユウ「い、いや、俺なんか全然ベテランじゃないよ!ちゃんと活動し始めたのも最近のことだし!」
モジャ「ベテランというなら、助っ人に入ってくれた女の子もそうもじゃな。」
モジャ「戦闘中、ずっとユウくんが癒術をかけやすいように立ち回っていたもじゃ。癒術士との連携のベテランもじゃな。」
ユウ「……長い間、一緒に旅をしてましたから、その間に身に付けてくれたんだと思います。」
リチャード「ふぅん、癒術士との連携の取り方か。それは俺たちも考えたほうがいいかもな。」
クライド「今回みたいに、護衛のメンバーに癒術士がいることもあるしね。身に付けて損はない技術だろう。」
リチャード「だよな!というわけで、次の戦闘ではレクチャー頼むぜ、ユウ!」
ユウ「えぇ!?レ、レクチャーって言ったって何もできないぞ!?」
リチャード「お、見て学べってことか?意外とスパルタだな!」
リチャード「まぁ、俺もそっちのほうが好みだ!待ってろ、コーヒーを飲んで気合入れるからよ!」
ユウ「だーかーら!そうじゃないって!」
モジャ「そもそも、戦闘を期待しないでほしいもじゃ……。モンスターと遭遇しないに越したことはないもじゃよ。」
リチャード「お、おぉ、すまん、旦那。ちょっとはしゃぎすぎちまったな。」
モジャ「わかってくれればいいもじゃよ。それにワタシも、王都までの道中をモンスターと遭遇せずに済むとは思ってないもじゃ。」
モジャ「いざという時は頼むもじゃよ、護衛諸君。お礼はた~んとはずむもじゃ!」
クライド「ええ、お任せください。王都までしっかりお守りしますから!」
リチャード「へへ、腕がなるぜ!モジャの旦那には傷1つ、つけさせねえからな!」
モジャ「おぉ、頼もしいもじゃな!」
メルク「ユウさんもアピールなのです!頼れるところを示しておくのですよ!」
ユウ「お、おぉ、そっか!」
ユウ「モジャさん、俺も頑張ります!……後ろの方で!」
モジャ「微妙に頼りないもじゃな!?」
クライド「ま、まぁ、癒術士の本分は後方支援だからね。その判断は何も間違ってはいないさ。」
リチャード「モンスターとの直接戦闘は俺たちに任せとけ!その代わり、お前にしかできないことはしっかりこなしてくれよな。」
ユウ「あぁ、任せてくれ。モンスターは俺が責任をもって癒すからな。」
メルク「……みゅふふ。」
ユウ「えっ、俺何か変なこと言ったか?」
メルク「違うのです。ユウさんが頼もしくなったな~と思ったのですよ。」
ユウ「えぇ、どこがだよ……。今だって全然かっこついてなかっただろ。」
メルク「たしかに格好はついてなかったのですが、私が言っているのは、そういうところじゃないのですよ。」
ユウ「やっぱり、ついてなかったのか……。」
メルク「そ、そこでつまずかないでほしいのですよ!みゅう~、せっかく頼もしいと思ったのに、台無しなのですよ……。」
メルク(でも……本当に、頼もしくなったのですよ。以前の旅に出たころのユウさんであれば、自分には荷が重いとか、モンスターが怖いとか言って……、)
メルク(絶対に『任せろ』なんて言わなかったのです)
メルク(まぁ、そうは言いつつもなんだかんだ頼まれごとを断らないのは今とそんなに変わっていないのですが)
メルク(……私を持ち続けてくれたこの手が以前よりも大きく見えるのは、決して錯覚なんかじゃないのです)
メルク(出会った時よりずっとずっと、頼もしくなったのですよ)
ユウ「なんだよ、ニヤニヤして……。」
メルク「何でもないのですよ~。」
ユウ「えぇ、何だよそれ……。」
モジャ「仲が良いもじゃな~。まるで、家族みたいもじゃ。」
ユウ「まぁ、もう家族みたいな友達ですから。」
メルク「そうなのです!私たちは、家族みたいな……、」
(家族……)
メルク「みゅ……?」
モジャ「そうそう。ところで、この後のこともじゃが……、)
メルク(聞こえたのは、私だけなのです?)
メルク(みゅみゅ、それにおかしいのですよ……。なんだか、急にまぶたが、重くなって……)

メルク「……。」
メルク「みゅ?ここは……?」
「家族。」
メルク「みゅ!?」
?(エルピス)「血の繋がった父がいて、母がいて、状況によっては兄弟もいるコミュニティ。」
?(エルピス)「私にはいない。」
?(エルピス)「メルクには?」
メルク「わ、私なのです?」
?(エルピス)「……無意味な質問だった。」
?(エルピス)「メルクにはユウがいる。家族の定義からは外れるけど、限りなく家族に近い存在。いいえ、もしかしたらそれ以上。」
?(エルピス)「……私には、いない。」
?(エルピス)「私とメルクの違いは、いったいなんなのだろう?どうして私は、ひとりなのだろう?」
メルク「違い。」
メルク「それは……、」

トト「きゅきゅ~!」
メルク「みゅ!」
ユウ「す、すねるなよ!トトはその、相棒だと思ってるから。無下にしてるわけじゃないって!」
メルク「い、今の光景は……?」
メルク「それに、あの女の子は……?」
メルク「……。」
ユウ「大丈夫か、メルク?なんか、ぼーっとしてるけど……。」
メルク「みゅ……?」
ユウ「……。」
メルク「みゅ~……。」
ユウ「……メルク?」
メルク「みゅ!」
メルク「は、はい、大丈夫なのですよ!」
ユウ「大丈夫な人の間じゃなかったぞ!?」
メルク「だ、大丈夫なのですよ!私はこの通り元気なのです!元気モリモリなのです!いえ、むしろ……元気メルメルなのです!」
ユウ「お前普段、元気メルメルとか言わないだろ!?というかなんだよ、メルメルって!どういう状況!?」
メルク「そ、それはもう、こう……蒼く、可憐に、はかなげに、元気が湧いているのです。そう、メ、メルメル~と……!」
ユウ「最終的に、自分でも自信が無くなってるじゃないか……。」
リチャード「まぁ、この陽気だ。ぼーっとしちまう気持ちもわからなくはねえけどな。」
クライド「同感だね。日向ぼっこでもしたいぐらいの良い天気だ。」
メルク(違うのです……。あの時の私がぼんやりしていたのは、陽気のせいではないのです)
メルク(意識が別の場所に行ってしまったというか、『こっち』のことはまるで認識できていなかったのですよ)
メルク(もしかして、あれが噂の『夢』というものなのです!?眠れない私、ついに夢デビューなのです!?)
メルク(ということは、話したあの子も夢の存在?記憶が正しければ、会ったことはないはずなのですが……)
メルク(でも、それにしては随分と懐かしいような気がして……)
リチャード「止まれ……!」
メルク「みゅ?」
リチャード「……近くにいる。なかなかでかいのが1匹だ。」
ユウ、クライド「……!」
モジャ「やり過ごせそうもじゃか?」
リチャード「あぁ、ここでジッとしていれば気づかれることはなさそうだ。」
モジャ「良かったもじゃ……。」
リチャード「だが、誰かがそのモンスターに追われてる。捕まっちまうのも時間の問題だぜ。」
ユウ「えっ!じゃ、じゃあ助けにいかないと!」
ユウ「あっ、でもそうするとキャラバンの方に負担が……、」
モジャ「な~にを言ってるもじゃか!助けた人が、将来的にワタシの1番の顧客になってくれる可能性はゼロではないもじゃ!」
モジャ「ならば、困っている人を助けるのは当キャラバンにとっても充分に利益有り!商人モジャは、そのチャンスを逃したりしないもじゃ!」
ユウ「モジャさん……。」
リチャード「アンタならそう言うと思ったぜ、旦那!」
モジャ「褒めてもお給料は上がらないもじゃ!ほら、早く行ってあげるもじゃよ。時は金なり!ワタシは無駄な浪費は嫌いもじゃ!」
クライド「ええ、ご心配なく。あっという間に、すましてきますから……!」

ノーズホーン「グルルルル!」
?(トゥルータ)「はぁ、はぁ!タフだなぁ!どこまで追いかけてくるつもりなんだか……!」
?(トゥルータ)「そろそろ、追いかけっこも終わりにしませんかねぇ!俺にはこんなことしてる暇はないもので!」
ノーズホーン「グルルルル!」
?(トゥルータ)「あぶねっ、聞く耳なしか!ったく、そっちがその気ならこっちだって……、」
?(トゥルータ)「食らいやがれ!」
ノーズホーン「グルル!?」
?(トゥルータ)「あ、やべ……。牽制のつもりが直撃……、」
?(トゥルータ)「あー、えっと……大丈夫ですか?すみません、そんなところに当てるつもりは……、」
ノーズホーン「グルルルルルー!」
「だー、やっぱりぃー!」
?(トゥルータ)「そもそも戦いは本職じゃないってのに!うおっ、あぶね!落ち着け、悪かったって!」
ノーズホーン「グルルルルー!」
「いた、あいつだ!」
リチャード「こっちだ、兄ちゃん!もうひと頑張りだぞ!」
?(トゥルータ)「……!ははっ、まだ完全には見放されてはないみたいだな!」
?(トゥルータ)「すみません、助かります!」
ノーズホーン「グルルルルルー!」
?(トゥルータ)「くっ、間に合わない……!」
リチャード「いや、ここまで来たら届く!オラァ!」
ノーズホーン「グルルル!?」
?(トゥルータ)「おぉ、すげぇ……。」
クライド「ほら、ぼーっとしてないでこっちへ。傷を癒してあげよう。」
?(トゥルータ)「あっ、ありがとうございます。」
クライド「悪いが君にはもう少しだけ戦ってもらうよ。さすがのリチャードも、あのモンスターを1人で相手にするのは厳しいだろう。」
クライド「私たちの役目は彼がモンスターを抑えきるための手伝いだ。できるかい?」
?(トゥルータ)「そりゃあ、勿論。でも、あのモンスターはなかなかしつこいですよ?抑えるだけじゃあ、何の解決にも……、」
クライド「あぁ、それは心配いらないよ。私たちには……、」
クライド「癒術士がついてるからね。」
?(トゥルータ)「癒術士……!」
リチャード「ユウ、今だ!」
ユウ「あぁ、任せてくれ!」
トト「きゅきゅ~!」
クライド「よし、私たちも行こう!」
?(トゥルータ)「ええ……。」
?(トゥルータ)「……あれが癒術士。『癒術』と呼ばれる希少な力を持つ人間。まさか、こんなところで出会えるなんてな。」
?(トゥルータ)「見させてもらうとしますかね。その実力ってやつを……。」
ノーズホーン「グルルルー!」
「うぎゃああああ!まだダメだー!」
「ユウさん、ダッシュなのです!ダッシュで戦線離脱なのですよー!」
?(トゥルータ)「俺のキメ顔返してくれませんかねぇ!?」

第二部一章

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