第10話:やっと会えたね

モジャ「おーい、見えてきたもじゃよ~。」
モジャ「目の前にある都市こそが、我らがシリウス王のおわす王都もじゃ!」
ユウ「でかぁ!」
メルク「ここからでもお城が見えるのですよ!」
トト「きゅきゅ~!」
トゥルータ「へぇ、あれがこの国の中心か……。立派なモンじゃないですか。」
クライド「おや、トゥルータくんはあまりはしゃがないんだね。」
トゥルータ「何をおっしゃいますか。これでも心はウキウキ、小躍りしたいぐらいですよ。ずっとここを目指して旅していたんですから。」
トゥルータ「ま、彼女に比べたら見劣るかもしれませんけどねぇ。」
メルク「ついに!ついに辿り着いたのですよ!ユウさん、王都なのです!」
ユウ「わ、わかったから!あんまり暴れるなって!」
メルク「もうすぐなのですよ、エルピース!」
クライド「ははは、たしかに……。」
モジャ「さぁ、もうひと頑張りもじゃ!モンスターの姿も見えないし、一気に駆け抜けるもじゃよ!」
クライド「ええ、それがいいでしょう。……攻撃の要であるリチャードも、この調子ですし。」
リチャード「うう、コーヒー……。コーヒーを飲ませてくれぇ……。アレがないと俺はダメなんだぁ……。」
モジャ「たしかに急を要するもじゃな……。コーヒーが切れて3日も経つのによくやってくれたもじゃよ。」
モジャ「さ、コーヒー切れで苦しんでいるリチャードくんのため、友達を待たせてるメルクくんのため、そして何よりワタシの商品を待っている人のために……、」
モジャ「王都まで全速前進もじゃよー!」
リチャード「おぉ~……、」
メルク「なのですよー!」

ユウ「……お祭り、かな?」
トゥルータ「お約束のリアクションどーも。一応返しますけど、お祭りじゃないですよ。」
ユウ「だよなー。」
ユウ「すごいな……。大きな町はいくつか行ったことがあるけど、王都は何というか……雰囲気から全然違う。」
トゥルータ「そりゃあ、この国の王様がいらっしゃるんでしょう?トップがいる町ってのは良くも悪くも他の町との空気感は変わってくるモンですよ。」
トゥルータ「ま、それでもこの町の雰囲気は珍しいですね。これだけ色んな風土を調和させるのは、簡単なことじゃない。」
トゥルータ「……名君なんでしょうねぇ。この国の王様ってのは。」
モジャ「その通りもじゃ!現国王シリウス様は歴代の中でも随一と呼ばれる名君。」
モジャ「あの方が即位されてから、王国も随分と外に開けた国になったもじゃよ。商売人にとってはこれ以上ない王様もじゃ!」
トゥルータ「なるほどねぇ……。是非お会いしたいもんだ。」
メルク「みゅ~、でもこれは困ったのですよ。こんなに人が多いと、エルピスを見つけるのもひと苦労なのです。」
ユウ「エルピスの特徴って何だっけ?」
メルク「陶器のような肌!宝石のような緑の瞳!……を、全て覆い隠してしまうローブなのです!」
ユウ「最後のが思いっきり難易度を上げてるな……。あれ以来、会えてないんだろ?」
メルク「はいなのですよ。だから、エルピスの現在地はさっぱりなのです……。ここにいるのか、それともまだ……?」
ユウ「でも、約束したんだろ?必ずここで会うんだって。」
ユウ「なら、会えるまで捜そう。向こうもきっと、メルクのことを捜してるはずだ。」
ユウ「俺も付き合うからさ。会えるまではここで頑張ってみよう。」
メルク「ユウさん……。ありがとうなのですよ。」
ユウ「けど宿代がなくなった場合は残念ながら撤退ということで!」
メルク「それは、あまり余裕がないということでは!?」
モジャ「2人とも、そろそろ出発するもじゃよ~。観光は仕事が終わってからにしてほしいもじゃ。」
クライド「悪いけどリチャードも限界でね。どこかでコーヒーを飲ませないと……。」
リチャード「ごめぇぇぇん……。」
ユウ「あ、すみません!」
ユウ「……エルピス探しはあとだな。」
メルク「なのですよ。もうひと頑張りするのです。」
メルク「……エルピス。もう少しだけ待っていてほしいのですよ。」
メルク「必ず、見つけるのです……!」

メルク「そう誓ってからもう4日……。」
ユウ「全然見つからないな……。」
メルク「ひーろーすーぎーなーのーでーすー!」
メルク「これだけ歩き回っているのに、どうしてまだ行ったことのない場所があるのです!?」
ユウ「言うなっ!気を失いそうになる!」
メルク「加えて色んな人がいすぎなのです!ローブ姿の人なんてそうはいないと思っていたのですが、これが割といらっしゃるのです!」
メルク「エルピスと判断する唯一の手がかりだったのに!これでは、どれが誰なのかさ~っぱりなのですよ!」
ユウ「だから言うなっ!」
メルク「みゅわ~!どこにいるのですよ、エルピス~!」
ユウ「正直言うと、宿代もそろそろ限界なんだ!王都のお宿は高いんだー!」
メルク、ユウ「エルピース!」
トト「きゅ~……。」
モジャ「荒れてるもじゃなぁ。」
ユウ「はぁ、はぁ、……。モ、モジャさん?」
モジャ「挨拶に来たもじゃよ。引き継ぎの癒術士とも合流できたし、ワタシたちは今日出発するもじゃ。」
ユウ「あっ、そっか。モジャさんたちは学問都市まで行くんでしたっけ。気をつけてくださいね。」
リチャード「心配いらねえよ。俺たちは、まだ護衛としてついていくしな。コーヒーの備蓄も十分だ!」
クライド「それが何よりも安心だよ、ほんと。」
ユウ「そうか。2人が一緒なら安心だな。」
ユウ「トゥルータは?やっぱり、戻ってこなかったのか?」
クライド「ああ、荷下ろしが終わったあと、ふらっと姿を消してそのまま。」
クライド「まぁ、彼のことだから、どこかでうまくやってるとは思うけど。」
ユウ「そっか……。うん、そうだな。」
モジャ「君たちはやっぱりこのまま残るもじゃか?」
ユウ「はい。まだメルクの友達と会えてませんから。」
モジャ「そうもじゃか……。無事に合流できることを祈っているもじゃ。」
モジャ「それじゃ、ワタシたちは行くもじゃ。またいつか、護衛をお願いするもじゃよ!」
ユウ「はい、ぜひ!」
リチャード「じゃあな、元気でやれよー!」
クライド「またいつか、どこかで!」
トト「きゅきゅ~!」
メルク「さよならなのですよ~!」
メルク「……帰り道は寂しくなりそうなのです。」
ユウ「そうだな。帰りもどこかのキャラバンにでも雇ってもらうか。」
メルク「みゅふふふ、それもありなのです。もしかしたら、トゥルータさんともばったりと再会できたりして……!」
ユウ「どうなんだろうなぁ。世界鐘を観に行くとは言っていたけど、他にも用事があるみたいだったし。」
ユウ「そもそも、もう王都にはいない可能性だってあるしな。」
メルク「みゅう……。せめて王都にいる間にもう1度くらい再会することができればいいのですが……。」
メルク「もどかしいのですよ。あの時のように歩くことができれば、自分で探しにいけるのに。」
メルク「私に会いたい人に、私から会いにいけるのに。」
ユウ「メルク……。」
メルク「みゅわ!ご、ごめんなさいなのですよ!ちょっと弱気になっていたみたいなのです。」
ユウ「いいよ、別に。1度体験したなら、そう思うのも当然だろうし。」
メルク「みゅう……。」
ユウ「でも、なんというか……。お前は歩けなくても、ちゃんとエルピスに会いに来られただろ?」
メルク「みゅ?それはユウさんが私を運んでくれたからで……、」
ユウ「んん、だからその……、それじゃダメか?」
ユウ「メルクが行きたいところには俺が連れて行ってやる。会いたい人には、俺が会わせてやる。」
ユウ「だからメルクが会いたいならエルピスはもちろん、トゥルータにも必ず会いに行こう。時間はかかるかもしれないけど……。」
メルク「……。」
ユウ「だ、だから、そんなに寂しそうな顔するなよ。俺じゃ、その……頼りないかもしれないけどさ。」
メルク「……。」
メルク「そんなことはないのですよ、ユウさん。」
メルク「ありがとうなのです。よろしくお願いするのですよ。」
ユウ「……おう。」
ユウ「ま、まぁ、何はともあれまずはエルピスだな。こっちは約束もあるし、何としても今回の滞在中に会っておかないとだけど……。」
メルク「もしかしたら、まだ王都についていない可能性もあるのです……。みゅ~、どこから来るのか聞いておけばよかったのですよ。」
ユウ「今更言っても仕方ないしな。ともかく、それっぽい人を見かけなかったか聞いてみて……、」
「……。」
メルク「みゅ……?」
ユウ「ん、どうした?」
メルク「今、エルピスに似た人を見たような……。」
ユウ「えっ!ど、どれだ!?どのフードの人だ!?」
メルク「フードは着ていなかったのです。でも、あれはたしかに……!」
ユウ「……よし。走るぞ、トト!」
トト「きゅ!」

ユウ「すみませーん、道開けてくださーい!」
トト「きゅきゅー!」
ユウ「メルク、どっちに行けばいい!?」
メルク「あっちなのですよ!」
ユウ「見えたのか!?」
メルク「ズバリ、美少女の勘なのですよー!」
ユウ「お、おぉ……!し、信じるぞ、メルクー!」
メルク(わかるのですよ。姿は変わってしまったけれど、あなたは確かにエルピスなのです!)
メルク(だって……、あなたを見ると、私はこんなに嬉しいのです!あの日、友達になった時のように!)
メルク(だから、だから……!)
メルク「もっと近くでお話したいのです、エルピス!」

エルピス「メルク……?」
メルク「……あなたのそんな顔、初めてみたのですよ。」
メルク「服も違うし、知らないことだらけなのです。」
メルク「だから……、色々、お話したいのですよ。」
エルピス「……うん。」
エルピス「私もだよ、メルク。」

第二部一章

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